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労働者派遣契約の見直しと現地法人の位置づけ

第17回 2009年04月

世界的不況は、中国も例外ではなく、現在各社は大変なご苦労をなさっています。
このため、各社とも大リストラ中です。また、労働契約法施行1年を過ぎて、様々な課題が浮き上がってきています。
しかし、本来のリストラというのは人員整理だけではありません。
現況において企業が取るべき対処の中で、今回は労働者派遣会社との契約見直しと対処について学びます。

派遣会社との契約を早期見直し

労働契約法の施行により、派遣会社への規制が厳しくなりました。日本のような「派遣切り」を防止するためです。

大きなものとしては、次です。

  1. 派遣会社が労働者を雇う場合、2年以上の契約でなければならない。
  2. 2年以内に契約を解除する場合は、残りの期間は地域最低賃金と前年の給与に基づいた社会保険を保障しなければならない。

これにより、派遣会社は常に派遣先企業を確保しなければならなく、派遣会社として大きなリスクを背負うこととなりました。

この派遣会社のリスクを、被派遣会社がかぶる契約となっていないか再確認をする必要があります。被派遣会社としては1年契約としたかったが、うまく言い込められて2年契約とし、中途解除した場合には、大きなリスクを被される契約となっているケースが大半です。

昨今の経済事情で、事業の縮小を余儀なくされ、事務員を解雇したい、或いは社用運転手を解雇したい場合でも、計算すると莫大な補償金を請求されたケースもあります。

昨年、9月に2年契約し、今年2月に契約解除を申し出たところ、残り期間20ヶ月の補償を要求されました。派遣会社の管理費も含めて9万元という莫大な金額でした。

かつては、採用・解雇が自由な派遣社員

2007年までは、派遣会社に派遣を依頼すれば全て簡単に済みました。

欲しい時に気軽に採用し、いらなくなれば電話一本で簡単に解除できました。個人所得税も社会保険も派遣会社が計算し労働者へ振り込んでくれました。全てが極めて会社有利な仕組であり会社としての努力はあまり必要ではありませんでした。

この名残で、気楽に派遣を継続契約した企業は、大変なことになっています。契約内容を厳格に見直してください。

「解雇したくても、2年間できない契約」と、なっていませんか?
それなら、何故わざわざ経費を払って派遣会社に依頼するのですか?
現地法人ではなく、調査などのみを目的とした「駐在員事務所」ならいたし方ありません。法人格がないのですから派遣社員に頼らざるを得ません。それでない、現地法人なら手抜きせず直接雇用すべきです。

派遣会社と労働者との契約は2年間であっても、派遣を受ける会社と派遣会社との契約が数ヶ月なら問題はありません。
そうでない場合は、派遣社員の派遣契約が終了次第、順次直接契約に切り替え、小数になったら一挙に全部切り替えるなどの工夫が必要です。
直接契約(直接採用)なら、仮に途中契約解除ででも数か月分の退職金で済みます。

なお、派遣会社に、給与計算と振り込み、社会保険納付、納税申告などをアウトソーシングすることは問題ありません。労働契約当事者が自社であればよいのです。

対処できる人がいない深刻な現実

以上、5回にわたって色々な課題と注文を申し上げましたが、中小企業の多くは、これらに対処し、こなせる経営者が中国には赴任していないことが大きな問題です。

そのような者を派遣する親会社の姿勢にも問題がありますが、現実的には解決せざるを得ません。

その場合に、コンサルタントなど専門家に相談し指導を受ける必要があります。素人が下手に対処すると問題をこじらせる恐れがあるからです。しかし、それはそれで、費用がかかります。

その決裁を、親会社に求めたら(それすら権限がないという現地法人の位置づけが最大の問題だが)、「そんなこと、お前1人で解決できないのか!」との悲劇的な答が帰ってくることも予想されます。

もし、そうなら日本国家の制度でも活用できるものがあります。

例えば、「財団法人 海外職業訓練協会(略してOVTA)」の相談制度です。

当初は無料ですので、いつでもご相談ください。中国には、私を含めてOVTA国際アドバイザーはたくさん待っていますよ。

佐藤中国経営研究所・上海知恵企業管理諮詢有限公司 佐藤 忠幸佐藤中国経営研究所・上海知恵企業管理諮詢有限公司 佐藤 忠幸
経営管理コーナーでは、中国での企業経営はいかにあるべきか、事例を中心としたご紹介をしています。