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定性と定量

第14回 2011年5月

定量、定性という言葉がある
私にとっては中学生のとき、
化学分析の方法で覚えた言葉で、
社会人になってからこんなによく使うとは思わなかった。
会社では売上分析、市場分析、など、検証、分析をする。
毎月だったり、予算編成や中計のように年一回だったりするが、とにかく頻繁に使う。
定量に人気がある。定性ばかり使うと怒られる。
このカテゴリーのこの市場は20%伸びている、というように。
オーダが細かすぎても意味がないので小数点以下何桁もいらない。
しかし化学の定性分析のように分析結果を出すのは簡単ではない。
特に市場分析だ。感覚的には伸びている実感があったとしても、何パーセントかを確定するのが難しい。
自社の売り上げはデータがあるが、競合各社のデータがないからだ。
市場規模の確定も不可能に近い。
話は飛ぶが、数字には割り切れる有理数といつまでも割り切れない無理数があるが、
どうも音楽は、無理数でできているのではないかと思ったことがある。
音楽は、音波だ。波が複雑に重なり合い構成されている。
この音波はフーリエ解析という手法を使うと、最終的に単純なサインカーブに分解できる。
と教養部時代に習ったような気がする。積分記号だらけだった。
まあ要するに、膨大なサインカーブが入り乱れて、重なり合って音楽となっているわけだ。
それを、人間の耳は、これは澄み切ったいい音だ。このスピーカーの高音はキンキンする。といったように定性的に聞き分けることができる。
音量は定量化できるが、音質の定量化はむりだ。
社会では定量が持てはやされているが、芸術の世界では定性が主流だ。

12平均律という言葉がある。
現在最も普及した音律で、古典音楽も歌謡曲もこの音律で作曲されている。
ピアノの鍵盤を想像するとわかりやすい。
1オクターブはすなわちドレミファソラシドとその半音をいれて12個の音程で構成されている。
この12個の音の周波数比は隣の音程と等しくある比率になっている。
たとえば下のド(完全一度)と上のド(完全8度)は、周波数比は2倍である。
しかしこのオクターブ以外の音程を比較すると
ドとソは1.5にならなければならないが平均律では実はなっていない。
すべてのちがう音程を取った場合、これらの2音が単純な周波数比になっていない。
逆にそうなっているものを純正音程と呼んでいるが、われわれが聴いている音楽は、
平均律でこの純正音程とはすこしずつずれている。
例えば、
ドとレは純正音程では、周波数比が1.125になるが平均律では1.122462だ。差は-0.68%、
ドとミは純正音程では、周波数比が1.25になるが平均律では1.2259921だ。差は+0.79%ある。

平均というからには均等と思っていたのだけれど、実は均等ではなく、微妙に上下しているのだ。我々はこの平均律で調律されたピアノの音をきいて、澄んだハーモニーと感じる。
純正音程ではないのでうなりが理論的に発生するが、それも混ざっていい音と感じるわけだ。
オクターブとユニゾン以外に純正音程が存在しない12平均律を鍵盤楽器に適用するには高度な技術が必要で、だからピアノの調律師が耳と経験で行う。

言いたいのは、数学的な完全な均等よりも微妙にずれているものに美しく感じるものが多い。ということだ。
女性もそうと言える。この人奇麗だな。と思う人はまず間違いなくそうだ。
何か完璧なようで、憂いがあり、どこかが違う。そんな感じだ。
すなわち定性的に美しいものを定量化すると微妙に完全ではないのだ。

音響装置の音もそうではないか?と思う。
私は子供のころから、歪がなくて澄み切った音を求める。そして定位を特に気にする。
雰囲気が生演奏に近いかも気にする。だからブーストした低音は生理的にだめなのだ。
平たく言えば、いかに自然であるか?だ。
しかしこればかりを目指すと得てして説得力に欠ける場合がある。
歪がない。定位がいい。自然である。等これらは、実は必要条件であって十分条件ではない。
そこが難しい。
女性に例えれば、左右、上下、目鼻立ちなどパーツの配置が完璧に整った
人形のような容姿の女性ではないだろうか?
それだけではつまらない。魅かれない。むしろ気味が悪い。
オーディオ装置は魅かれる音を目指したい。難しい。だから面白いのだ。

結局、自然界では定量より定性が、幅を利かしている。

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