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中国と日本の会計相違点③ 生産成本

第9回 2007年8月

「生産成本」は日本の「製造原価」のことである。中国では毎月決算を行うので、「生産成本」は毎月「製品」、「半製品」に振替えられる。そのため、財務諸表上、「生産成本」を確認することができない。

一般的な処理方法として、製造に使用する「原材料」、「補助材料」を一旦「生産成本」に計上する。  製造に使用する「人件費」、「水道光熱費」、「原価償却費」、「消耗品費」等の費用は、一旦「製造費用」として計上され、月末にはその「製造費用」は全て「生産成本」に振替えられる。

「原材料」、「補助材料」、「製造費用」により構成された「生産成本」は月末に、一定の規則・比率によって、各「製品」、「半製品」に振替えられる。

このような処理によって、月末の財務諸表上、「資産」としての「製品」と「半製品」の増加は反映されるが、「生産成本」の合計、明細を確認することができない。

例:あるA、B二種類の製品を製造している会社の製造原価計算

①月末、A製品に使った原材料は5,000RMB、補助材料2,000RMB、B製品に使った原材料は3,500RMB、補助材料1,000RMBである。

    借方:生産成本―原材料A 5,000RMB
     貸方:原材料A 5,000RMB
    借方:生産成本―補助材料A 2,000RMB
     貸方:補助材料A 2,000RMB
    借方:生産成本―原材料B 3,500RMB
     貸方:原材料B 3,500RMB
    借方:生産成本―補助材料B 1,000RMB
     貸方:補助材料B 1,000RMB

②月末、製造に使った人件費は4,000RMB、水道光熱費は1,500RMB、消耗品費は500元、減価償却費は1,000RMBである。合計7,000RMBを一旦「製造費用」に計上する。

    借方:製造費用―人件費 4,000RMB
     貸方:現金 4,000RMB (現金支払)
    借方:製造費用―水道光熱費 1,500RMB
     貸方:銀行預金 1,500RMB (銀行振込)
    借方:製造費用―消耗品費 500RMB
     貸方:消耗品 500RMB (在庫品使用)
    借方:製造費用―折旧費(減価償却費) 1,000RMB
     貸方:累計折旧(減価償却累計) 1,000RMB

③月末、「製造費用」を全額「生産成本」に振替る

    借方:生産成本―製造費用 7,000RMB
     貸方:製造費用―人件費 4,000RMB
        製造費用―水道光熱費 1,500RMB
        製造費用―消耗品費 500RMB
        製造費用―折旧費(減価償却費) 1,000RMB

④「生産成本」の「原材料」と「補助材料」の部分はA,B商品とそれぞれ対応しているが、「製品」と「半製品」の比率は7:3である。

    借方:製品A 3,500RMB
     貸方:生産成本―原材料A 3,500RMB(5,000RMB原材料Aの70%は製品Aに使った)
    借方:半製品A 1,500RMB
     貸方:生産成本―原材料A 1,500RMB(5,000RMB原材料Aの30%は半製品Aに使った)
    借方:製品A 1,400RMB
     貸方:生産成本―補助材料 1,400RMB(2,000RMB補助材料Aの70%は製品Aに使った)
    借方:半製品A 600RMB
     貸方:生産成本―補助材料 600RMD(2,000RMB補助材料Aの30%は半製品Aに使った)
    借方:製品B 2,450RMB
     貸方:生産成本―原材料B 2,450RMB(3,500RMB原材料Bの70%は製品Bに使った)
    借方:半製品B 1,050RMB
     貸方:生産成本―原材料 1,050RMB(3,500RMB原材料Bの30%は半製品Bに使った)
    借方:製品B 700RMB
     貸方:生産成本―補助材料 700RMB(1,000RMB補助材料Bの70%は製品Aに使った)
    借方:半製品B 300RMB
     貸方:生産成本―補助材料 300RMB(1,000RMB補助材料Bの30%は半製品Bに使った)

⑤合計7,000RMB「生産成本」の「製造費用」分をまずA,B製品に3:1の比率で分配し、さらに7:3の比率でそれぞれの「製品」、「半製品」に振替る。

    借方:製品A 3,675RMB
     貸方:生産成本―製造費用 7,000RMB
       (7,000RMB生産成本の75%はA製品、さらにその中の70%の製品Aに使った)
    借方:半製品A 1,575RMB
     貸方:生産成本―製造費用 1,575RMB
        (7,000RMB生産成本の75%はA製品、さらにその中の30%の半製品Aに使った)
    借方:製品B 1,225RMB
     貸方:生産成本―製造費用 1,225RMB
        (7,000RMB生産成本の25%はB製品、さらにその中の70%の製品Bに使った)
    借方:半製品B 525RMB
     貸方:生産成本―製造費用 525RMB
        (7,000RMB生産成本の25%はB製品、さらにその中の30%の半製品Bに使った)

以上、生産に使用した「原材料」、「補助材料」と各種製造費用は、全て製造結果である「製品」、「半製品」に振替えた。「生産成本」(製造原価)は帳簿上の科目として計上されるが、財務諸表には反映されないことは明確である。

この会計処理自体は煩雑であるうえ、以前紹介した「増値税」制度も加えれば、より間違いやすくなる。社内管理制度の構築は原価計算や増値税等の会計処理及び記帳を正しく行うための重要なポイントになる。

参考:「中国における会計制度と実効のある経理関係社内規程」(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)

上海誠鋭実業有限公司 叶 家胤上海誠鋭実業有限公司 叶 家胤
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