SBFの活動報告

Shanghai Business Forum
Active Report

2015年03月 蘇州-上海ビジネスフォーラム活動報告

開催概要

日時 3月7日(土) 15:00~17:30(勉強会) 18:00~20:00(交流会)
場所 桃園度假村酒店4階 会議室
テーマ 近現代に於ける中国農村社会の歴史及び文化的変遷の考察
講師 神谷 輝雄 氏 (太陽誘電中国投資有限公司 副総経理)
幹事
出席 勉強会:25名 交流会:23名
会費 勉強会:30元、交流会:120元

講義内訳

(1)土地制度の変遷

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①古代から清代

②近代(新中国成立前夜)
漢による中央集権国家の成立により、地方・農村においては官僚支配とその力を背景 とする地主による実質的支配が清代まで続く。新中国前夜―欧州の資本主義(帝国主義)が到来し、都市、農村における手工業が安い輸入工業製品にとって代わられる。また軍閥の台頭などにより農村経済は疲弊し、さらなる土地の集約化が進み、多くの農民は没落し小作農や雇農あるいは逃散することになる。ここにおいて二大階級の対立がはっきりするようになる。
中国共産党は土地革命を掲げ農民の支持をとりつけ、農村が都市を包囲する政策をとる。ただし、1930年半ばは農民の土地所有を認める政策を掲げていた。

③新中国成立後
互助組、初級合作社、高級合作社、農家生産請負制 新中国成立直後に、地主から土地を取り上げこれを小作農等に分配する土地革命を行う。これにより農村では小規模自作農が実現するが、都市への資本移動を急務とする共産党は、党内路線の激しい主導権争いを経て、農村の集団化をこの後急速に進めることになる。そして高級合作社の段階で土地は農民の私有から集団所有へ、そして人民公社化において単に農村経済の集団化から工業、教育、軍事を含む政経合一の組織化を力ずくで達成する事になる。この背景の一つとして急速に悪化する中ソ関係への対応が背景にあり、工業化を急ぐ必要があった。

④集団土地所有権の性質

(2)農村社会の変容

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①近代(太平天国の乱)、②改革開放以降における農村社会
太平天国は土地の平等分配や軍事との一体化など、中国共産党の政策に通ずる内容をもっていた。共産党による土地革命やそれに続く農業・農村の集団化は大きく農民の地位を変えることになった上、伝統的な小農経営やその意識を外形的に大きく変える要因になった。しかしその基礎に流れる農村儀礼や生活様式は変化しつつも、父系集団を基礎とする「差序格局」は人民公社政策が失敗し、家族請負制の導入がなされると次代にその姿を再度見せ始めることとになる。一方で農村経済の発展や中国経済の構造変化に伴う、出稼ぎの増加、郷鎮企業の発展などが、これまでの比較的地域的に狭い範囲でとどまっていた差序格局の関係性を空間的(地理的にも血縁外にも)にも大きく広げることになる。

つまり、新中国における土地革命以降の急速な変化の影響はその経済体制の外的変化の割には農民の内的変化が比較的小規模にとどまった可能性が高いのではないか。むしろ改革開放以降の農民の生活や文化変容の方が大きなものとなっているのではないか、と考えられる。

(3)農業共同組織の歴史と現状

①中国成立から高級合作社、②人民公社

(4)農業近代化への歩み

2000年にWTO加盟などもあり激化する競争に対抗するため、新たな意味での集団化が必要とされている。さまざま形での集団化が進行しつつあるし、今後も農業の構造調整は進むものとみられる。

(5)農村共同組織の形成(現在~)

(6)農村文化、宗族制度9要約の復興

(7)講義に用いられた用語の概意

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⇒意味が複雑多岐に渡り、2.5時間の学習では理解の範囲を超えた。

「差序格局」
中国の社会、人類学者の費孝通が1947 年に表した著作『郷土中国』で、村落研究の結果、中国の伝統的農村の社会構造の最も基本的特性を、「チャーシューガーチュー」という四文字で表現した。

「郷土不離郷」
農業をやめても郷土を離れない

「土地革命」
1927年の国共合作崩壊以降中国共産党は毛沢東指導の下、支配区域において小ブルジョアを強制的にプロレタリア化させることを目的として実施された。それまで地主が所有していた全ての土地は政府が没収し政府所有にすると共に、全人民に平等に使用権という形で平等に分配するという内容であった。

「互助合作運動」
中国土地改革は農民革命といわれる。中国共産党は農村に依拠し, 農民を. 率いて革命に勝利した特異なマルクス主義政党である。中華人民共和国成立前後における農村地域の互助・合作運動。中華人民 共和国蔵立前における農村地域の互助・合作運動。

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「人民公社」
中華人民共和国における農業集団化のための組織である。農村での行政と経済組織が一体化し中華人民共和国政府のもとで農村に組織された農業生産合作社を基礎に1958年夏に成立したもので, 行政部門と農工業生産部門,学校,民兵などを含む中国独自の社会の末端権力組織。集団経営の名称(初級合作社⇒高級合作社⇒人民公社)

「双層経営体制」
人民公社解体後の中国農村を支えた経営制度は、「双層経営体制」であった。中国共産党が社会主義体制を維持していることの一つの象徴。単に農業、農業政策に留まらず、中国の政治体制に関連するもので、正しく理解することは中国の今後の政治活動を把握する上で避けて通り無い。

「農業共同組織」
1978年の人民公社解体以降、農民が自発的に作り上げた協同組合。

所感

今回の講義は神谷氏が学生時代から研究を重ねられた中国共産党、社会主義の根幹を成す農業、農民、農村をテーマにした表題のもので有ったが、聴講者各位で十分理解に至った方々は極少数であったと思われる。講義後の感想では講義の本質に迫る感想が聞けなかった事でも、如何に至難なテーマであったかを物語っている。
私達、外資企業に働く者にとって、任地国の政治体制を最低限は知っておく事が必要で、共に働く中国人社員を理解する意味でも、今回の講義は大いに役立つものであった事を記憶に留めたい。
又、講師役をお勤め頂いた神谷氏には、今後とも引き続き、これらの研究を重ねられ集大成に仕上がることを祈念申し上げ、今回のお礼に代えたいと思います。

交流会

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