SBFの活動報告

Shanghai Business Forum
Active Report

2010年4月 上海ビジネスフォーラム活動報告

中国ビジネストラブル失敗事例 ~あなたならどうする~

開催概要

日時 4月17日(土) 15時00分~17時40分
幹事 呉 明憲さん 日綜(上海)投資コンサルティング有限公司 副総経理
出席 25名

まとめ

SBFらしく、討論を多く取り入れた勉強会でした。
呉さんは、顔に似合わず(失礼!)ユーモアあふれる口調で、それでいて厳しい内容をずばりと指摘くださいました。進め方としては、小節ごとに「あなたならどうしますか?」と、ほぼ全員の参加者へ順番に問いかけ、応答するという形式です。時には難しい問いかけもありましたが、さすがSBF会員!見事にお応えいただき、それにのった議論が活発に行われました。
テーマは、昨年の年末会そして今年の1月例会と類似のものでしたが、事例内容も切り口も全く異なり専門家である実行委員でさえもうならせていただきました。

勉強会の内容

事例1、海外に初めて赴任した総経理が、解雇と採用方法を間違えて困った

  • 財務担当のAさんが産休で休みに入った。当初は、補充を考えていなかったが実務的に困った。
  • 日本語の達者な、居酒屋のBさんを「労働契約書もなく」気軽に採用してしまった。
  • 総経理は、Bさんを通訳としても重宝に用いているうちに、Bさんは会社内で横暴な態度を取るようになった。
  • 産休明けでAさんが復職したが、Bさんの補助に回した。
  • Aさんは、Bさんの横暴ぶりに怒っていた。
  • 総経理は、Aさんのことを考えて、辞めたほうがよいと諭した。事実上の退職勧告。
  • Aさんは「やることが逆だ」とますます怒った。困った総経理は、Bさんを解雇した。
  • Bさんは不満として、仲裁委員会に訴えた。総経理はまた困り、Bさんを復職させた。

「産休中の補充は、短期労働者採用か、アウトソーシングとすべき。」「Bさんは絶対に解雇すべきだった。」など活発な議論がなされた。
これは、労働契約書、妊娠休暇、訴訟、解雇などの扱いにあまりにも無知無謀な事例。

事例2、技術漏洩と偽物に対する責任を問われた

  • Aさんは、帰郷するためということで円満に退職した。
  • その後間もなく偽物が出てきた。
  • 偽者の発信地はAさんの故郷方面。
  • 訴えようにも、証拠は見つからず、しかも秘密保護契約をしていないためできない。

会社は、Aさんが真似できない新製品で対策できたが、秘密保護に関して無関心すぎた事例。

事例3、会社清算における追加納税と重要物品管理に関して問題が発生

  • 中国現地法人C社の総経理は、親会社社長の縁故で採用した中国人。
  • 親会社は、C社の経営状況が悪いため清算することとした。
  • 総経理は、再建できると清算に反対して登記証などの重要書類と社印を隠してしまった。
  • 大金を使って、代替書類と印鑑を用いて清算にこぎつけた
  • 財務諸表・帳簿作りをしていないため税務申告をしていないことが分かり、自主的にさかのぼり帳簿を作って納税した。
  • 日本人の個人所得税も申告していないことも分かったので、自主的に申告した。

自主的に納税したおかげで追徴金・罰金は取られなかったが、時間的・金銭的に大きなロスを産んだ事例であり、学べる教訓は下記。

  • 経営を現地に放任してしまうリスク
  • 経営者の資質に関するリスク
  • 重要物品管理に関するリスク
  • 納税に関するリスク

議論としては、高級管理者採用に関する面接のポイントなどに関するものが多くなされた。

事例4、セクハラ行為を放置したために問題が複雑化した

  • 日本人出向者A氏は、普段からBさんに対してセクハラ気味であった。
  • 会社の忘年会で、A氏は衆人環視の前でBさんに抱きついた。
  • Bさんはとうとう怒り、総経理に訴えたが放っておかれた。
  • Bさんは、さらに書類にて謝罪と賠償を要求したが、総経理は拒否した。
  • Bさんは精神的苦痛により、休みがちとなり解雇されてしまった。
  • 工会もBさんの味方にならなかった。
  • Bさんは、裁判に訴えた。会社は「酒の席でのこと、酒のためだから」と無罪を主張したがそれは通らず敗訴した。

これは、次の教訓を得た有名な事例。
① セクハラは違法行為であることの再認識
② 違法行為が放置されれば社内規則は無いことと同じである
③ 赴任者の資質と教育を徹底すべき。

事例5、社内規則改定を事前に通知しなかったことによりストライキが発生してしまった

  • 某社は、新しく総経理が就任した。
  • 新総経理は、総務課長の職務から人事に関する事項を取り上げ、新たに人事課を作り別の者を人事課長に任命した。
  • 総務課長は面白くなく反感を覚えた。
  • 人事課長中心に就業規則の改定をし、社員一人ひとりに電子メールで通知した。
  • 就業規則改定に対して、総務課長は息のかかった者に反対をさせた。
  • そうこうしている内に、一部の跳ね返りがストライキに入ってしまった。
  • 会社は、派遣社員が中心のため派遣会社に説得を依頼したが、労務管理は被派遣会社の責任だと断られた。
  • 弁護士に依頼し、説得してもらいやっと収まった。
  • 総務課長の反対運動扇動が明白なため、総務課長を解雇した。
  • 総務課長解雇にともないPCをロックするなどをして情報漏洩防止に努めた。

人事発令時のコミュニケーションと規則改定時の手続きをおろそかにした事例。

事例6、労災発生時の補償金支払い交渉でトラブルが発生してしまった

  • 労災により歩行困難となった社員の労災補償交渉に両親が出てきた。
  • そのうちに、一族が出てきて騒ぎ出した。
  • これでは結婚もできないので、幾ら幾らの補償金を出せと吹っかけた。
  • 弁護士を通して、「労災関連条令」どおりの支払いで押し通した。

このような交渉は、当事者で無い者はからませない、相手にしないことが肝要。法律にのっとり、粛々と行うべきだという事例。

事例7、ロイヤリティ送金が当局に否認されてしまった

  • 親会社とロイヤリティ契約を結び、送金しようとした。
  • 税務局がロイヤリティ契約の金額設定がおかしいという理由で否認した。
  • 税務局の見解は次のとおり。
    1. 移転価格税制にひっかかる金額設定である
    2. 子会社が、何故親会社に支払わなければならないのか理解できない。そんなことをするのは日系と台湾系のみだ。

客観的な根拠が必要だという事例。

事例8、他社から加工貿易用設備の譲渡を受けることで発生したトラブル

同業種の加工貿易のメーカーに移すのだからということを税関に認めさせた事例。
(現在は、関税を5年間の保税で入れることは可能)

事例9、中国では製造物責任が販売者にも問われる

  • F社は、中古家電を販売しており、あるとき変圧器を売った。
  • 買った方は、中古でも寿命が短いだけで性能は新品と同じだと思って買った。
  • 買った変圧器を電気毛布に使ったところ、変圧器が焦げてカーペットに傷がついた。
  • 買った方は、電気毛布に使えないとは説明が無かったといって補償を要求した。
  • F社は、補償せざるを得なかった。

販売業者は、自信がない商品販売にはリスクを覚悟すること。そのような商品を売る場合には説明が重要だという事例。(なお、この事例は売った相手が悪かった。なぜなら相手は呉さん)

事例10、会社設立時に地元政府の発言を過信してしまった

  • ある地方に進出を考えていた企業に、地元政府は極めて親切であり、何でも請合った。
  • 会社設立にあたり、よいという弁護士を地元政府から紹介してもらった。
  • 紹介された弁護士は、政府への人脈だけが売りのダメ弁護士。
  • 営業許可証は出たが、生産する製品の生産許可証は、合弁企業でなければ不可ということがわかった。
  • 奨励業種の申請も、生産許可証が無いのでこれも不可であった。
  • 結局、合弁会社にして申請をやり直し、時間的ロスは甚大であった。

数年前まで、企業誘致のため、奨励業種認定は乱発されたが、3~4年前に税関で否認が相次いだ。
地方政府は誘致を最優先する立場で発言するので、割り引いて聞く必要があるという事例。

事例11、人員採用に関するバランスが欠けて困った

  • 350人の製造会社。当初は若い男性を中心に採用した。
  • 音がうるさく嫌がるので、耐えやすい女性に採用方針を切り替えたところ、しばらくしたら女性ばかりの会社になってしまった。
  • 定着率がよい会社のため、必然的に結婚⇒出産を迎える者が多く、ピーク時には在籍者の15%もの者が産休で休んで困った。

人員採用は、長期的に考えて労務構成のバランスをとることが重要だという事例。

その他の事例

省略

事例の総括

全ての問題は、行き着くところ経営する人の問題である。

☆労務管理
☆人事制度
☆知識不足
☆事前確認の不徹底

「日系企業の特徴」

まず、進出ありき⇒後から問題点を見つけ 解決する 結果的に時間とお金のロス

「駐在員の資質とリスク」

  • 日本では経営未経験
  • 中国語ができない
  • 初対面の中国の方と一緒に、中国で会社を作ることの高いリスク
  • 中国での一般生活に慣れない方が中国で経営することのリスク
  • 自分の能力不足部分を専門家に頼り補う予定のない方が中国で経営することのリスク
  • 中国を好きになれない方が中国で経営することのリスク
  • 中国が嫌いになった方が中国で経営することのリスク⇒好きでも嫌いでも興味を持て!
  • しっかりとした独自の優位性を持っていない方が中国で経営することのリスク
  • 通訳を過信する方が中国で経営することのリスク
  • 現地スタッフを見下している方が中国で経営することのリスク
  • 現地スタッフを育てる気持ちのない方が中国で経営することのリスク
  • 口だけで、行動が伴わない方が中国で経営することのリスク
  • 中国の悪いところしか見えない方が中国で経営することのリスク
  • 13億人を養う大国の気持ちで中国の制度と法律を見ようとしない方が中国で経営することのリスク
  • 直ぐに、「中国は」と全般否定する方が中国で経営することのリスク

なかなか厳しいご指摘ですね。がんばりましょう。

新入・初参加者の自己紹介

敬称略 紹介順

王 廷慶:上海日粉食品有限公司
古石 茂章:上海河原機械有限公司
雷 莉:上海阿卑斯酒店管理有限公司
藤崎 和正:湯浅商事(上海)有限公司
飯塚 千景:千景花物語
村岡 純生:上海アスカ商務諮詢有限公司

SBFからのお知らせ

叶家胤さんより5月~8月例会の紹介と9月親睦旅行の紹介がなされ、10月と11月の例会幹事の立候補呼びかけがありました。

食事会

時 間 18時~20時30分
出 席 24名
会 費 150元
開 催 滴水洞(湖南料理)
住所:卢湾区茂名南路56号2楼(近長楽路)

湖南料理といえば辛いことで有名ですが、この店は単に辛いだけでなく美味しいことで有名、特に外国人には有名で週末に部屋を予約することは極めて困難です。呉さんの早い予約でラッキーでした。オプションで取ったご飯も一鉢ごとに蒸したもので美味だそうです。
欠席された方はお二人でどうぞ。
お酒も会話も進み、あっという間にお開きとなりました。